南部戦跡で祈る
私が、沖縄にはじめて訪れたのが、5年くらい前のことです。沖縄の観光ツアーで、ほぼ組み込まれているのが、
ひめゆりの塔や
旧海軍司令部壕、
平和記念公園などの「
南部戦跡めぐり」。
沖縄に暮らすようになった現在も、
私はこれらの場所にいったことがありませんでした。
正直、多くの人がなくなった場所に行く勇気がなかったのです。
「そのような場所には、まださまよっている魂がいて、
敏感な人はそれを感じとってしまう」というのを聞いたことがあります。
そんな理由もあって、誰かに誘われても
「いつかは必ず行くつもりだけど、まだ心の準備ができていない」と断っていました。
でも、ついに「平和記念公園」にいってきました。
予定にははいってなかったのですが、
コトリ母たちと「ひめゆりパーク」に行ってみたら休業中で、
そのまま帰るのもつまらないので、通りがかった「平和記念公園」に立ち寄ったのです。
園内には、戦争体験を伝える「沖縄県平和祈念資料館」と、
沖縄戦で亡くなったすべての人の名が刻まれている「平和の礎(イシジ)」、7つの海と合掌の形を現した「沖縄平和祈念堂」があります。
公園は、緑がきれいに整備され、目の前には大きな海が広がっています。
ここが激戦地だとは思えないほど、静かで美しい公園です。
でも、その静けさは、世界の音を全て吸収してしまような不思議な静けさでした。
石の上に刻まれた、戦没者の名前を読みながら海のほうへ歩いていきました。
涙はなんとかこぼれませんでしたが、
胸の奥で、悲しみがゴーゴーと音をたてているのを感じました。
平和の礎の前で、祈りました。
「世界が平和になるように努力することを誓います」
私に準備ができたから、この場所に来られたのかなと思いながら、
平和祈念公園を後にしました。
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