おじいちゃんのトリ
おじいちゃんは、音楽家でした。
楽団にはいっていて、
ビオラを弾くのがお仕事でした。
その娘のコトリ母は
ヴィオリン弾き、
そして孫のわたしも子供の頃、コトリ母から習い
ヴィオリンを弾いていました。
なので、
おじいちゃんの家に行くときは、
時々
ヴィオリンをもっていき、レッスンしてもらいました。
おじいちゃんは、植物もスキでしたので、
家の前の小さな庭は緑がいっぱいで、みんな庭に向かって弾いていました。
すぐあきて、他のことをしたがるコトリは、よく
おじいちゃんに怒られていた気がします。
「もうやりたくないなら、弾くな、弾くな!!」
といわれ、むくれていたのを覚えています。
おじいちゃんと、おばあちゃんと、コトリ母と4人で、
鎌倉あたりに旅行にいった時も、「1日休んだら、3日ぶっさがる!」
という口癖のおじいちゃんに感化されてか、ヴィオリンをもっての旅でした。
あれが、おじいちゃんとおばあちゃんと一緒にいった最後の旅かな?
おじいちゃんと、コトリ母と、コトリ、3代でベートーベンか何かを合奏したのはいい思い出です。
そんなわたしたちを、いつも棚の上から見守ってくれていた木のトリがいました。
首が、ギギっと動くのです。
おじいちゃんとおばあちゃんがなくなった時、この木のトリをもらいました。
今、絵を描く作業台を窓辺からのぞいています。
なんだか、おじいちゃんとおばあちゃんが、そこにいるような気持ちになります。
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