秋の読書 ・・・なんくるない・・・
なんで、この小説をすぐに読まなかったんだろう。
よしもとばななさんの
「なんくるない」を読んでそう思いました。
ちょうど1年前に出版されているのですが、
よしもとばななファンの私としたことが、さらに
沖縄ネタだというのに、
なぜか先のばしにして読んでいいなかったのです。
そして感想。すごく自分の気持ちにフィットしました。
とくに表題作の
「なんくるない」の主人公ピンキーちゃんの思いが、痛いほどわかりました。
1年前に離婚したピンキーちゃんこと桃子は、今は姉と暮らし穏やかな日々を送っています。
でも本屋で思ってもいなかった事件がおきて、それにショックを受けた桃子は、
予定よりも早く1人で沖縄に旅立つことになるのです。
「なのにもう着いたとたんにいきなり、沖縄は私にたくさんの光を注いでくれていた。感謝してもたりないほどのきれいなものを、空港からホテルに来ただけなのに、もうたくさんを見せてくれた。咲き乱れる花とか、真っ青な空とか、おいしい食べ物とか、笑顔の人々とか、ちょっと色あせた田舎っぽい街並みの、なんということのない屋根の上からこちらを見ているシーサーたちのかわいさだとか・・・」
(よしもとばなな「なんくるない」より)
あとがきに「私はあくまでも観光客なので、それ以外の視点で書くことをやめた」
と書かれているとおり、旅行者として沖縄に訪れた時の、あのかたまりかけていた心がジワーととけだすような感覚がこの小説には書かれています。
沖縄に暮らすようになって、ほんの少し忘れかけていたあの感覚を、
この小説を読んで思い出しました。
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