奈良美智さんの思い出
横浜トリエンナーレの続きです。
今回、トリエンナーレに行った一番の目的は、
奈良美智さんの作品に会うことでした。強い視線を持つ女の子の絵。女の子の目は、怒っているし、こちらをにらみつけます。「子供らしい」というのは、無邪気な笑顔やあたりかまわず泣く顔とかを一般的に言うのかもしれませんが、
奈良さんの作品はどれもあてはまりません。だけど、不思議なことに、どんな子供の絵よりリアルにリアルに胸に届きます。
奈良さんには、一度お会いしたことがあります。東京の築地にあるイラストの学校に1年間通っていたことがあるのですが、
奈良さんは年に1回講師として来てくれるのです。
奈良さんの言葉をほとんど全部、ノートに速記で書きとめたのですが、今はそのノートがみあたりません。一体どこにいったのだろうかと、時々思い出しては悩んでいます。
授業が終わったあと、ドキドキしながら自分の作品を渡しにいきました。
自分で作った
小さな森の絵詩集です。「これは・・・、いいね。色もきれいだし、よくできていると思うよ」といってくれました。これは、フリーペーパーとして街で配っているというと、
奈良さんは少し悲しそうな顔をしてこんな話をしました。
「自分の周りでも、昔からフリーペーパのようなものを作る人たちはたくさんいたけど、なんでみんな途中でやめちゃうのかな?やりたいことだったのに、数回でやめてしまう。そういうの信じられなかったな」
一途一直線な
奈良さんらしい言葉だと思いました。
そんなに好きで、そんなに求めているものなら、そう簡単にはあきらめないはずだと。
久しぶりに
奈良さんの絵の前に立ち、あの日の気持ちがウズウズと動くのを感じました。
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