世界を歩く椎名誠

コトリ

2006年02月15日 04:28

この月曜日、作家椎名誠さんの講演会に行ってきました。
講演テーマは「沖縄の文化と海」。
椎名さんといえば、旅の本も多く、パタゴニア、アマゾン、モンゴルなどに探検に行っては文章や写真にのこしています。以前、世田谷文学館で「椎名誠ずんがずんが展 -旅で見たこと考えてきたこと」を見た時も、その冒険家ぶり、体あたりぶりに「なんというワイルドな実践派作家」と思ったものです。
自分の体で、世界を見て聞いて食べてなければ気がすまない人。というか、それが椎名さんにとって生きているということなんだろうなと思いました。
さて、今回なぜ椎名さんが沖縄にやって来たかというと、「(財)沖縄マリンレジャーセイフティービューロー(OMSB)」の10周年記念式典があり、名誉顧問の椎名さんが登場したというわけです。
お役所関連の機関ということもあって、会場内は黒づくめの硬い雰囲気。それに対して、椎名さんはGパンにセーター、そして海人顔負けの日に焼けた顔。
この日は、最近よく行く北極圏の話やエスキモーイヌイットの話をしてくれました。アザラシの狩や、ツンドラ地帯での蚊との戦い・・・、旅人の話はさすがに面白い。
エスキモーのように自然の中で、伝統的な暮らし方をしている人たちは、鯨でもアザラシでも自分たちの手で殺して食べるのですが「食べられる季節に、食べられる量を獲る」そうです。

週刊現代で2年間「海を見に行く」という連載をしてきた椎名さんは、日本全国の海を取材してきました。そして感想は、「日本ほど沿岸がコンクリートで埋められているところはない」そうです。
どこの漁師も口をそろえて言うのが「昔は獲れたのに、今は獲れなくなった」ということです。魚も漁師も少なくなった海で、にぎやかなのは工事の音だけ。
「世界有数のきれいな海を持つという沖縄も、例外ではないのだろうな」と思うと、なんだかとても悲しくなりました。
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