色の魔法使い
「力の色ではないかもしれない。
しかしこの世を美しく楽しくさせる色だと思う。
心を静かにさせ幸福にさせる色だと思う」
と柳宗悦氏に評されたのは、型絵染師の芹沢銈介氏。
芹沢さんの型染め作品は、風呂敷やのれんなどで見かけたことがある人も多いと思いますが、その豊かな色彩、自由でのびやかなデザインはまさに「芹沢流」です。
それまで図案の仕事はしていたものの、型染めとの出会いは意外におそく32、33歳の頃。
民藝運動の創始者柳宗悦氏の論文「工藝の道」に感銘を受けたこと、上野の開催された博覧会で展示されていた「沖縄紅型」に深く魅了されたことで、この後「型絵染」の世界へまっしぐら。
沖縄にも渡り、技法を習得しました。
芹沢作品には「一体何色使われているのだろう?」というくらい、さまざまな色がもりこまれています。こんなに違うを色を使ったら、ふつう安っぽくなるか、品がなくなるだろうところを、芹沢さんはモダンで、心がぱっと明るくなるようなステキな作品に仕上げます。
今、わたしは仕事で印刷物をデザイン・制作したりする機会がありますが、まとまりをよくするために色数はなるべく少なくするようにしています。このほうがおさまりがよいし、失敗が少ないからです。
色を多くつかいながらも、違和感なくセンスよくデザインするのは高度な技だと思うのです。
仕事では無難な道を選びがちなわたしですが、自分の作品は違います。
とくに
紅型に色をいれる時は、たくさんの色を使いたくなります。
色の組み合わせも、その場の思いつき(インスピレーション?)です。
あまり深く考えず、悩まずどんどん色をいれていきます。
芹沢さんの作品をはじめて見た時の感動がきっと影響してるのかもしれません。
写真の本は、東京から一緒にやってきた
芹沢本、
コトリの宝物の一つです。
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